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環境省 ALPS処理水放出直後の分析速報へ

 環境省は、福島第一原子力におけるALPS(多核種除去設備)処理水を、海洋放出した直後に実施するモニタリング結果について、迅速に公表するための具体案を示した。同モニタリングに関しては、今年3月の総合モニタリング計画改定の際に「検出下限値を上げた速報も活用して測定頻度を高くする」方針を提示しており、同速報のためのモニタリングに対する考え方をはじめ、具体的な方向性、公表方法や事前に設定した値を超えた結果が出た場合の対応方法といった、分析結果の取扱いについて考えを整理した。
 放出直後のモニタリングには、迅速性が求められることから、一定の精度を確保し、可能な範囲で迅速な分析を行うと共に、測定対象や測点数の充実よりも、高頻度の実施を重視し、ターゲットを絞って実施すべき―との考えを提示。具体的に同省は、海水のトリチウム濃度を測定し、電解濃縮は行わず、蒸留法で実施する。検出下限目標値は1ℓ当たり10ベクレルとし、測点数よりも頻度を優先させるため、採水範囲を放水口の比較的近傍に限定する。一方で、測点数を一定程度確保するために表層水のみを採水。高頻度での実施を想定して、海象などにより出港不可能な場合は欠測扱いとし、代替措置として漁港内での採水なども検討する。モニタリング結果が問題ないことを確認した上で、東京電力ホールディングスの放出スケジュールも踏まえて、徐々に頻度を落としていく―などの方向性を示した。
 さらに、得られた分析結果は、同省が事務局を務める「ALPS処理水に係る海域モニタリング専門家会議」座長(=福島武彦・筑波大学名誉教授)の確認を経た上で、速報値として速やかに公表する。座長確認時には、併せて座長以外の委員にも報告し、同会議の確認を経て確定値として改めて公表する。また、事前に設定した値を超えた結果が出た場合は、サンプリングや分析方法に問題が無いかを確認すると共に、同会議座長に報告し、専門的見地からの評価・助言を得て、同省が追加的なサンプリングや分析が必要か否かを判断。同会議委員に対しては、結果と座長による評価・助言を報告し、追加の分析などについては後日その結果を同会議に報告する―などの対応を想定している。