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経産省 3月福島沖地震の復旧迅速化策評価

 経産省は、今年3月16日に発生した福島県沖地震に伴う停止火力での復旧迅速化策に対して、その妥当性を概ね認めると共に、一部の施設で復旧期間が長期化していることを踏まえて、各事業者が検証を進めた上で、その結果を関係者に共有し、今後の検討に活用することを求めた。電力安全小委員会電気設備自然災害等対策WGを通じて、これまでに電気設備の耐震性、復旧迅速化、規制制度の妥当性、情報発信―の視点から、同地震による被害・対応などを検証。このほど各視点での評価をまとめ、同WGに提示した。

 マグニチュード7.4、最大震度6強となった同地震の影響で、運転中の火力11か所・14基、水力25か所が停止。東京電力パワーグリッド(PG)と東北電力ネットワーク(NW)の両エリア内で、周波数低下リレー(UFR)が動作し、最大で約220万戸の停電が発生した。水力の被害は軽微だったため、翌17日には全て復旧し、東電PGエリアは同日2時52分に復電、東北電NWエリアは同21時41分にそれぞれ復電しており、UFRの動作については、同25日開催の電力・ガス基本政策小委員会が、系統崩壊によるブラックアウトを防いだ―と事業者の取り組みを評価している。

 火力では、一般的な地震動とされる震度5の揺れを観測した火力のうち、2設備で被害が発生したが、そのほか多くの火力での被害は無かった。また、震度6以上の揺れを観測した火力においては、5設備で被害が発生したものの同省は、全体として長期の供給支障を回避している―と指摘。過去の災害などを踏まえた耐震対策や復旧対策が有効に機能したことで、早期復旧を実現できた―と評価した。

 一方で、一部施設で復旧期間の長期化が顕著となった理由として、①東北電力・原町1号(石炭、100万㎾)、同・仙台4号(天然ガス、46・8万㎾)、相馬共同火力・新地1、2号(石炭、計200万㎾)などのように、タービン・ボイラーの構造に被害が生じた場合、原因特定に1か月程度の時間を要するケースがある、②被害の規模が大きい場合は、作業時間や部品調達期間が長期化する―ことを挙げた。さらに両課題に対して、原因特定作業を短縮化するための技術面、作業手順面での改善点や、なぜ被害が大規模化したのか―などの検証を進めることを事業者に求めた。