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JICA 業務委託企業の安全・安心を重視

 JICAは、ロシアによるウクライナ侵攻に対応して、業務委託する日本の電力などが安全・円滑に国際貢献事業を履行できるように、国際紛争や政情不安に伴う「治安の悪化」に代表されるカントリーリスクへの対応を強化する。半年にわたるウクライナ侵攻に加え、米・中両国による覇権争いなど、近年の国際秩序の変化と、地球規模の問題である温暖化や新型コロナウイルス感染症のパンデミックなどを踏まえて、従来からの途上国におけるインフラ整備と共に、今後はSDGs(持続可能な開発目標)への貢献や気候変動対応への支援などにも注力する。今年度からスタートする「第5期中期計画」では、目標達成年度を5年後の26年度に置き、脱炭素社会の実現に向けた取り組みを強化する。特にアジア圏では、各国がカーボンニュートラル(CN)の実現を目指す方針を表明していることから、地熱発電や再生可能エネルギー施設の整備のほか、CNの実現に向けたロードマップの策定支援なども展開する。
 また近年は、途上国においてもPPP(公共事業・サービスにおける官民連携)への関心が高まっていることから、同分野で豊富な知見を持つ電力など民間企業の技術や知見、ネットワークを途上国に提供して、国際受注に結び付けるスキームの構築なども目指していく考えだ。カントリーリスクに対しては、国や地域が抱えるリスクを迅速に把握するために、これまで以上に現地の日本大使館との連携を強化することで現地動向・情報の正確な把握に努めると共に、日本企業からの相談にも適宜対応し、電力などが安全に受託プロジェクトを履行できる環境を構築する。