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東電設計 ヨルダンで系統支援のための調査

 東電設計は9月より、中東のヨルダン王国で「電力系統運用能力強化計画」策定支援のための準備調査を開始する。天然資源に乏しいヨルダンは、エネルギーの安全保障を確保するため、12年に制定した「省エネルギー法」で再生可能エネルギー設備の開発を進めており、その結果、同国の発電設備容量に占める再エネの割合が、12年のゼロから20年には26%と拡大した。一方で再エネの出力変動性によって系統システムの不安定化が一気に進み、近年は全国レベルでの大規模停電が発生して社会問題になっている。こうした現状の改善を図るためヨルダン政府は、同技術で先行する日本の電力の協力を求めて、日本政府に支援を要請。これを受けたJICA事業として19年から、東電設計と三菱総合研究所による技術協力「再エネ系統統合と安定供給の促進プロジェクト」を通じて「ソフト面での能力強化」(JICA)を図ってきた。これに並行して今年度は「ハード面の改善を支援する」(同)ことを決定。新たな支援プロジェクトとなる電力系統運用能力強化計画を開始するもの。
 東電設計などのこれまでの調査によって、系統運用の阻害要因が「保護リレー装置の機器更新が滞っていること」と判明したため、新たな支援事業では、ヨルダンと隣国エジプトを結ぶ唯一の国際連系送電線の起点となっているアカバ変電所を含む8か所の基幹変電所の保護リレー装置を、保守性に優れたデジタル保護リレー装置に更新する改修が中心となる。プロジェクトの第一弾となる準備調査は、ヨルダン電力公社や同国エネルギー鉱物資源省と協力し、現地において関連情報を収集。同支援事業を日本政府の無償資金協力として実施する必要性と妥当性を検証すると共に、保護リレー装置のリプレース履行に向けた概略設計・事業計画の両策定と概略事業費の積算を行う。業務期間は9月1日~23年6月末までを予定している。なお、調査には日本工営、アジア共同設計コンサルタントが協力する。