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東電PG、関西電、東邦ガス 脱CO2モデル事業

 東京電力パワーグリッド(PG)、関西電力、東邦ガスは今年度より、自治体や大学と協力して、環境省が「民生部門における脱炭素化のモデル事業」(同省大臣官房地域脱炭素事業推進調整官室)と位置付ける新たな取り組みを開始する。政府が目指す「30年度までのカーボンニュートラル(CN)の実現」の一環となる採択事業で、全国の自治体(民間との共同提案含む)からの公募によって寄せられた脱炭素プロジェクト提案の中から、優れた内容のものを「脱炭素先行地域」として選出し、同省が新設した「地域脱炭素移行・再エネ推進交付金」を「5年程度優先的に支援する」(同)ことで、各プロジェクトの履行とCO2の削減につなげる―というもの。このうち東電PGは、さいたま市や埼玉大学、芝浦工業大学と「公民学によるグリーン共創モデル」プロジェクトの実現を目指す。同事業は、市の全公共施設と2大学の施設に太陽光を新設し、産学官連携でのEMSによる需給管理の下、系統の効率化と脱炭素化を図ると共に、市全域で再生可能エネルギーを活用したバッテリーステーション事業を展開する―というもの。
 また、関西電が、兵庫県姫路市と取り組む「姫路城ゼロカーボンキャッスル構想」は、世界遺産に認定されている国宝・姫路城を中心に、特別史跡指定区域内にある周辺公共施設や市郊外の市有遊休地に太陽光と蓄電池を整備して、オフサイトPPAによる再エネ供給を行うことで「ゼロカーボンキャッスル」のコンセプトを実現し、観光地としての新たな魅力の創生とブランド力の向上につなげる。さらに「文化財保護法の規制がある同区域内での、次世代型太陽光の導入可能性についても検討する」(姫路市)という。東邦ガスが、名古屋市と取り組む「再開発地区で実現する脱炭素コンパクトシティモデル」プロジェクトは、市の「低炭素モデル地区」となっている再開発エリア「みなとアクルス」に、太陽光・小型風力・蓄電池などを導入すると共に、同地区において水素を製造し、水素と都市ガスを燃料とするコジェネも導入する―という取り組み。  

  各プロジェクトの開始にあたって3社は、来月1日に環境省で行われる脱炭素先行地域の選定証授与式に出席して、キックオフを宣言する。なお、同省は、第二弾となる脱炭素先行地域の選定に向けた公募手続きを今夏中に行う考えで、来年度以降は、25年度まで年2回のペースで募集を行った上で、最終的に全国で100か所程度を選出する。