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Jパワー送配電 海底直流送電のルート検討

 Jパワー送変電ネットワークは、海底直流送電のケーブル敷設ルートに関して、技術的な実現可能性を検討するFSを開始する。再生可能エネルギーの大量導入やレジリエンスの強化を目的として現在、経産省エネ庁や電力広域的運営推進機関を中心に、22年中の策定を目指してマスタープランの検討が進められている中で、約8割が北海道・東北・九州に集中する洋上風力は、同プランの検討に大きな影響を与える要素となっている。一方で、北海道などの洋上風力の適地から大消費地への送電を可能とする長距離海底直流送電(HVDC)は、コスト面、輸送効率、運用の柔軟性、系統安定度などで有利とされており、Jパワー送変電はこのほど、NEDO事業「洋上風力等からの高圧直流送電システムの構築・運用に関する調査」の実施事業者に採択され、海洋産業研究会、合同会社ユーコートと共同で、具体的なHVDCの計画を想定したFSを実施する。
 同FSでは、北海道から本州を結ぶ日本海側と太平洋側の両海域における、複数の海底ルートを対象に、必要な製造設備などの規模や、技術・調整が必要な先行利用者、許認可の数などを確認。直流送電設備としては、双極200万㎾構成を基準に、将来的に日本海側と太平洋側の合計容量400万㎾、800万㎾と拡張する場合を検討する。費用の算出では、ケーブル、交直変換器などの直流電力設備は、メーカーヒアリングから現実的な価格を調査し、敷設工事費、保守管理費用についても具体的に精査する。
 早期にHVDCシステムを整備するためには、〇大規模な製造装置や試験設備、大型の敷設船といった設備への投資の必要性、〇海域の先行利用者との関係、〇占用などに関する許認可、〇技術開発の必要性、〇整備事業者のファイナンス―などが課題とされており、同FSでは、これらの課題への対処にもつなげることが期待されている。