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沖縄電 宇宙空間飛行サービスの事業化推進

 沖縄電力は、下地島空港(沖縄県宮古島市)を、事業の拠点となる「宇宙港」として整備して、一般向けに宇宙旅行(宇宙空間飛行)サービスを提供する―という、電力初の取り組みを開始する。沖縄電は、県の公募事業である「下地島空港及び周辺用地の利活用事業」を受託した、宇宙機開発を手掛けるPDエアロスペース(名古屋市)や、同社に出資するANAホールディングス、沖縄銀行、琉球銀行など15社と協力し、計画推進組織となる「下地島宇宙港事業推進コンソーシアム」をこのほど発足。今後、同コンソーシアムの主導で、22年12月までに宇宙空間飛行のサービス提供実現を目指す。沖縄電などが事業化を目指す宇宙空間飛行は、垂直に打ち上げるロケットではなく、翼のついた「宇宙飛行機」(スペースプレーン)を利用した「準軌道」(サブオービタル)と呼ばれる形式の宇宙飛行。ジェットエンジンを使って離陸後、高度15㎞地点でロケットエンジンを点火して同110㎞まで上昇。その後高度を下げ、同30㎞で大気圏に再突入後、ジェットエンジンで飛行して、宇宙港となる下地島空港に戻る―というフライトプラン。
 機体を提供するPD社は、既に同空港で拠点の整備を進めており、来月中を目処に「無人実験機(6号機)を用いた試験飛行を行う予定」という。これと並行して同社は、高度100㎞までの飛行が可能な無人実験機(7号機)の開発も進め、22年12月までに宇宙空間の飛行を実現させた上で、最終的に「25年5月より、有人飛行が可能な8号機による有人飛行の実現を目指す」考え。この計画をバックアップするコンソーシアムは、①実験機による技術実証事業、②ターミナルとなる宇宙港でのテナント事業、③宇宙空間飛行に関する訓練事業、④観光事業―の4事業を推進していく考えで、早期に事業ジャンル別WGを設けて検討を進め、計画の実現を目指す。県内に宇宙港を設けて宇宙旅行を事業化する―という壮大なプロジェクトであることから、沖縄電の大嶺滿会長が特別幹事、本永浩之社長が副代表幹事を務める沖縄経済同友会も「新たな産業創出による地域経済の活性化・振興と共に、沖縄が宇宙ビジネスの拠点となる大きな可能性を持つ」と期待しており、22年度からスタートする次期沖縄振興計画の中で「国と県にバックアップを要望していく」(同会)という。なお今後、コンソーシアムの参加企業も拡大させる考えで、最終的に「22年末までに100社の参加を目指す」(PD社)という。