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エネ庁 系統設置交付金の対象費用など考え方提示

 経産省エネ庁は、新たな基幹系統の増強ルールとして、全国的な費用負担調整スキームを導入する。再生可能エネルギー電源の大量導入を促すと共に、国民負担を抑制していく観点から、マスタープランに基づき計画的に対応する「プッシュ型」の送電ネットワークを形成する方針の下で、既報の通り電力広域的運営推進機関は、同マスタープランの策定に向けた検討を開始。同プランの策定にあたり、個別の送電設備増強については費用対便益評価を行う一方で、同プランに基づく送電設備の増強に対しては、費用を全国で調整する仕組みを導入する。今年6月に成立したエネルギー供給強靭化法は、再エネの導入に伴って見込まれる電力価格の低下、CO2削減効果といった社会的便益に対応した負担について、「系統設置交付金」として再エネ特措法上の賦課金方式を活用することを規定。これを受けて同庁は、このほど開催された再エネの主力電源化に関する合同会議で、同交付金の詳細設計として、〇対象費用、〇交付期間、〇交付時期、〇交付額決定―の考え方を示した。
 具体的には、賦課金方式の対象費用項目である工事費、運転維持費のうち、再エネの電気を実際に運ぶ送変電設備費用を、減価償却費、固定資産除去費、修繕費、公租公課(固定資産税、事業税)、その他経費(賃貸料など)―に限定し、同交付金の対象費用とする考えを提示。同条件に基づき、昨年3月に60万㎾から90万㎾に増強し、さらに30万㎾の増強を検討中の新々北海道本州間連系設備と、広域系統整備計画によって27年度までに455万㎾の増強を予定する東北東京間連系線の対象費用を試算した結果、付加金活用は全体費用の約8割を占め、交付額は、新々北本で年間約20憶円、東北東京間で約30憶円となる見通しを示した。
 また、系統設置交付金の交付期間は、設置する送変電設備ごとの法定耐用年数を設定。各年度の早いタイミングで交付を行い、電力・ガス取引監視等委員会による審査を経た送電線増強費用の計画値に再エネの寄与率を積算した、計画値ベースで交付額を決定する考えで、交付額決定のプロセスに関する詳細設計についてエネ庁は、関連する託送料金制度改革の議論と共に、持続可能な電力システム構築小委員会や、電ガ監視委において、さらに議論を深める。