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経産省 火力でのCCS導入モデル3件程度を想定

 経産省はCCSの実用化を視野に、火力からのCO2分離回収などを想定したCCS導入モデルの検討を実施する。日本CCS調査を通じて12年度から実施した、北海道苫小牧市での大規模実証では、20年頃の実用化に向けて当初目標としていた、累計30万tのCO2圧入を昨年11月に達成。操業技術を確立したのをはじめ、システムの安全性の確認、社会的受容性の醸成などの成果を得た一方で、経済性や地下の不確実性に伴う事業リスクなどの課題が明らかになった。同省はこれらの課題を整理した上で、適切な制度設計・インセンティブ施策などの事業環境を整備することが必要―と判断。国内において実施の可能性があるCCS導入モデルを想定し、経済波及効果などの検討を行うもの。
 具体的には、既存工程でCO2を分離回収している施設から貯留ポテンシャルが高い地点へ圧入する先行プロジェクトと、火力からの圧入といった大規模プロジェクトをCCS導入モデルとしてそれぞれ2~3件程度想定。世界ではCO2分離回収コストが低い排出源からのCCS導入が進んでいるのを踏まえて、化学産業、天然ガス生産施設などを対象とした事業を検討する。同事業について同省は、CCS導入までの期間短縮と設備投資額の抑制が期待でき、導入初期において効果的なケース―と指摘。一方で、規模が比較的小さいため、単位当たりのCCSコストは相対的に高くなることが見込まれることから、火力などの大規模排出源での導入モデルに関しても、同時に検討する考え。火力での導入モデルでは、CCSに特化した産業関連表を基に、導入地域での経済波及効果を評価する。さらに、CCSを実施する際の障壁となり得る、地点選定における官民の役割や利害関係者との調整、資金調達、事業の責任区分といった項目を抽出して、それぞれの課題を整理。同課題解決のための法制度の在り方についても検討を進める。