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関西電 トロバス保存に向け全国から支援の浄財

 関西電力が、18年に運行を終了した関電トンネルトロリーバス(トロバス)の、現存する最後の1台を保存するために、長野県大町市が進めているクラウドファンディング(CF)が、その後も順調に支持者を集めており、関係者は改めてトロバスの高い人気に驚いている。既報のように同取り組みは、関西電の「トロリーバス事業にかかる鉄道事業の廃止」により、惜しまれながら一昨年に廃止・売却された計15台の同バスの最後の1台(300型)を「長年に渡って大町の歴史と共に存在してきた同バスを、歴史遺産として後世に語り継ぐ必要がある」(牛越徹・大町市長)との判断から、市長自らが実行者となったCFを立ち上げて、富山県高岡市の解体業者から「車両を買い取って移送する費用となる180万円を集金目標」(同)に、先月10日より寄付の受付を開始した。その結果、わずか3日目で目標額に到達して、トロバスの保存が決定すると共に、その後も沢山の浄財が全国から寄せられ、寄付金の総額は13日時点で、378人による計503万円となっている。
 こうした高い支持の背景には、利用者や乗り物ファンによるトロバスへの親しみ、さらには黒部ダムを中心とした立山黒部アルペンルートへの郷愁―があり、特に新型コロナウイルスの脅威に晒されて厳しい社会環境にある現在「家族や恋人と過ごした楽しい夏休み」の想い出は、かけがえのないものであり、それを支えてくれたトロバスはもちろんのこと、964年の開業から54年の長きにわたり「無事故で延べ6162万人を黒部ダムに運んだ関西電の安全対策の徹底・完遂は高く評価されるべき」(市)と指摘する。
 こうした全国の支持者の意向に応えるために大町市は「トロバスの部品が盗難されるようなことを防ぐ」(同)ため、このほど、同バスが現在置かれている解体業者の社有地に、バスを守るためのバリケードを設置し、万一の事態に備えた。この後は、今月末に迎えるCFの終了を待って、トロバスを大町市に移送し、CFに寄せられた寄付金で車体のオーバーホール(修理・補修)を行った後、現在用地を選定中の展示場所に配置して、関西電を迎えた「お披露目式」を開いた上で、今年度下期より一般公開する考えだ。