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千葉の長期停電で関西電と和歌山県の協定に注目

 今月9日に関東地方を直撃した台風15号による広域停電を受けて、今年4月に関西電力が和歌山県との間で締結した「災害時における停電復旧作業の連携等に関する協定」が改めて注目されている。昨年9月に発生した台風21号の際に、同県内で広範囲にわたる停電が発生し、倒木などの影響により復旧作業に時間を要した結果、停電が長期化したことを踏まえて関西電は、同県内における災害対応などを強化するため、同協定を締結。災害時における停電の早期復旧に向けて、県と連携して停電復旧に支障となる樹木や土砂などの障害物の除去を行うと共に、倒壊した電柱が県の管理道路の復旧を妨げている場合には、同社が安全確認を行った上で、県が除去作業を行うことも可能としたもの。同協定に対して、今回の台風被害を受けて広域停電が続く千葉県をはじめとする全国の自治体が注目。近年、大規模な自然災害が全国で相次いで発生する中で、官民連携のあり方について今後、本格的な議論が加速される見通し。
 台風15号による広域停電に対しては、千葉県で難航する東京電力パワーグリッド(PG)による復旧作業に、電力各社が大規模な応援派遣を実施。業界を挙げて対応にあたっているが、倒木による電線の遮断といった被害が広がっており、長期化を余儀なくされている。台風直後にいち早く災害対策本部を設置した千葉市の熊谷俊人市長は、○複数省庁を横断する統括連絡先の確立、○大量の伐採木の広域処理への支援、○学校施設の早期復旧に向けた工事業者の確保―などを当初より国へ要請。第4次安倍再改造内閣で就任した赤羽一嘉・国交大臣は同要請に対して、ブルーシート張りや建物の補修工事について、全国建設業協会、全国中小建設業協会、住宅生産団体連合会などへ対応を求めた。さらに同省と経産省が連携し、東電PGが必要としている場所に建設業者を派遣して、電線にかかった倒木処理を加速化すると共に、特車許可支援として電柱運搬車両を優先処理するなど、官民連携の強化を図っている。