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JICA 九州電を軸にケニアで地熱調査委託

 九州電力が17~18年に、東アフリカのケニア共和国で、西日本技術開発と共同で行った「オルカリア地熱の運営維持管理に係る情報収集・確認調査」(17年3月10日号参照)の集約結果に基づく両社の提案を受けて、JICAは来月より、同国で新たに「IoTを活用したオルカリア地熱のO&M(オペレーション&メンテナンス)能力強化プロジェクト詳細計画策定調査」を開始する。豊富な地熱ポテンシャルを有するケニアは現在、同国発電公社が管理・保有する全地熱の総出力(計51・3万㎾=18年実績=)を、30年までに計500万㎾までに引き上げる新規電源計画を推進中で、同国エネルギー省が14年に策定した「電力セクター10年開発計画」においても、日本の円借款支援を含むオルカリア地熱のさらなる開発(リプレース含む)が「電源計画の達成のために必要不可欠となる」と位置付けている。
 こうした状況下において、ケニア政府からの要請に基づいて前記調査を行った九州電は、オルカリア地熱において、○IoTデータ解析技術を通じた運営維持管理の能力強化、○ナレッジ・マネジメント(知的情報の活用による組織力の向上)による環境整備のためのデータセンターの導入―を提案。また「東部アフリカ圏における地熱のリーダー」(JICA)であるケニア発電公社も、オルカリア地熱が立地する同国ナクル郡に、地熱開発を推進するための拠点を設け、地熱に関する周辺国とのナレッジの共有と人材の育成を進める構想の実現を目指していることから、日本の電力の協力を得て再度、オルカリアⅠ(981年運開、計4.5万㎾)、同Ⅱ(03年、10・5万㎾)、同Ⅳ(00年、計14万㎾)、同Ⅴ(年内運開、同)の4地熱を対象にした事業全般(運転に関するリアルタイムでの基本データの収集や性能管理、保守作業時の傾向管理、地熱井での蒸気圧・配管の蒸気流量把握、タービン回転数など運営データの収集・蓄積、さらにこれら諸データを用いたより高度なデータ解析技術など)に関する知見と技術を、ケニア発電公社の職員に移転し、これによりオルカリア各地熱の維持管理能力の向上を図るため、新たな現地調査を行うことを決めたもの。
 調査期間は、来月下旬~10月上旬を予定しており、この間、同公社が貯留層管理のために保有している資機材について情報収集するほか、地熱のO&M能力向上に必要となる資機材(貯留層の分析ソフトなど)に関するコスト試算も行う。なお調査を委託する電力については現在、九州電と西日本技術開発を軸に選定を進めており、近く決定する。