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経産省 社会要請に応える新型原子炉開発に着手

 経産省は来年度から、再生可能エネルギーの導入拡大や電力自由化の進展といった、社会的な環境変化に対応できる原子力技術の確立を目指して、新技術炉の開発支援を本格化する。今年7月に閣議決定されたエネルギー基本計画は、安全性・経済性・機動性に優れた原子炉の追求と、バックエンド問題の解決に向けた技術開発の必要性を指摘。万が一の事故リスクを下げていくため、軽水炉の安全性向上につながる技術や、信頼性・効率性を高める技術などの開発を推進する方針を示した。同基本計画を踏まえて同省は、来年度から27年度までの9年間にわたり、革新的な新技術炉開発への支援を行う考えを提示。来年度予算として、10億円を新規要求すると共に、新技術炉は補助終了後約10年以内に、要素技術の高度化は同5年以内に、原子炉への適用や標準化を目指す方針を固めた。具体的には、安全性・経済性に優れた小型炉開発や、長半減期核種を燃焼可能な軽水炉開発への取り組みを支援。小型炉開発では、炉心の小型化・自然循環技術により、事故時にも電源無しで冷却可能となるような安全性を保有すると共に、配管系統の簡素化・モジュラー生産などにより、建設・運転費用も抑えた小型炉の開発を想定する。さらに、原子力における大量の計測データを蓄積・自動解析し、リアルタイムで監視することで、予兆の段階から早期に異常を検知し、トラブル事象の分析を可能とする技術開発を後押しするなどの取り組みを強化し、原子力の信頼回復、産業基盤の強化を図る。