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東電HD 福一視察者の受け入れ拡大で風評払拭

 東京電力ホールディングス(HD)が、被災地の風評払拭と広報拡充の両観点から、積極的に受け入れを進めている福島第一原子力の17年度における視察者が、1.2万人を突破したことが明らかになった。福一事故以降、同社は、原子力専門家や政府関係者、一部の報道関係者に限定して、福一への視察を受け入れて来たが、除染や様々な対応策の奏功によって、構内の大半が防護服を着用せずに作業できるほどに放射線量が下がってきたことから「福一の現状を見ていただくということで、風評を防いだり、地域の復興の一助になる」(同社)と判断。この方針に基づき近年は、積極的な受け入れを行っている。その結果、12~13年度には、事故対応などにあたる専門家を中心に年間1000人程度で推移していた視察者の数が、14年度に5000人、16年度には1万人超に達するなど、年々増加していた。
 直近となる17年度の視察者の内訳を見ると、海外を含め県外からの参加者が全体の7割を占めており、視察者の意向に基づき東電HDは、これまでの地元の自治体や自治会などに加え、在外公館の大使館員や学生の視察希望にも柔軟に対応しており、16、17両年度には大学生・高校生だけで計1400人の受け入れを行った。そのため今後も、県内外の教育関係者の協力を得て、次代を担う若者の視察をさらに拡大していく考えだ。そのほか、これまでは実施していなかった土曜日の視察の受け入れも開始したほか、福島県が風評対策の一環として提唱する「ホープツーリズム(復興が進む県の現状を『他県にはない特有の魅力』と位置付け、旅行素材にして発信する広報活動)」と連動させた「福一の廃炉と周辺自治体の復興状況をセットで視察できる取り組み」などの実現可能性も探りながら、東京五輪・パラリンピックで世界中の耳目が集まる20年度までに、視察者を年間2万人にまで拡大。廃炉と復興の現状を国際社会にアピールすることで、風評の払拭を目指す考えだ。