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IPA 先進事例で東京電のiパス活用紹介

 情報処理推進機構(IPA)は、IT(情報技術)に関する基礎的な知識を証明する国家試験「ITパスポート試験(iパス)」を人財育成に活用する、東京電力グループの取り組みを、先進的なデジタル人材育成の事例として、同機構のウェブページで紹介した。

 同試験は、AI、ビッグデータ、IoTといった技術・手法などに関する知識をはじめ、経営戦略、セキュリティ、プロジェクトマネジメントなど幅広い分野の総合的知識を問う試験。09年の開始以来、多くの社会人や学生が受験しており、近年はIT職種に留まらず、事務、営業や設備保全などの現場部門まで、幅広い層で受験するケースが増えている。企業では、社員の人材育成に幅広く活用されており、採用活動におけるエントリーシートへの記入を求める動きも広がっている。
 業務のデジタル化が進む中で東京電グループは、iパスを「社内のITリテラシ―標準」と位置付け、新入社員からベテランまで広く受験を促す仕組みを導入。発電から送配電、販売を担うエネルギー企業として、電力の安定供給とカーボンニュートラルの両立に向けた事業構造変革を推進するため、23年に打ち出した方策「TEPCODX」に基づき「DX全社員化」を目指している。

 IPAが経産省と設けた「デジタルスキル標準」をベースに、6職種・4段階のスキルレベルで構成する「DX人財ポートフォリオ」を策定しており、このうちDXリテラシーの習得段階である、レベル1の到達基準にiパス合格を設定。全社員のレベル1以上達成に向けて、グループ横断で学習を支援する。
 IPAのウェブページでは、これらの取り組みについて、DXプロジェクト推進室DX人財開発グループの木村隆一・GMと、同グループの角田沙織・人財育成チームリーダーが、IPAのインタビューを通じて紹介する。iパスは、鉄塔や電柱の保守・運用を担う現場職種の社員も多くが受験。調達の現場でも、50代のベテラン社員がデジタル製品・サービスの仕様書をより深く読み解けるようになり、建設的な交渉につながった―との声が上がっていることを紹介する。

 「DXの基礎=iパス」との共通認識も醸成され、同試験がグループ内に浸透しており、昨年度の時点で、レベル1が約6000人、レベル2が約1000人を超える成果を挙げている。iパス受験をきっかけに学習の習慣が身につき、DXのより高度な知識やスキル、非IT領域の学びにも発展させてチャレンジする人が増えていることからも、引き続きiパスを活用しながら「価値創造機会」と「育成」の両輪を発展させていく―との想いを語っている。