JWPA 継続困難、失効リスク有が3割に
日本風力発電協会(JWPA)が実施した、風力発電事業者に対するアンケート調査結果から、FIT・FIP認定取得済み・未稼働事業のうち「運開時期を超過し失効リスクがある」「事業継続が困難」とする回答が、3割以上に上ることが分かった。
経産省エネ庁の報告では、昨年12月末時点で、同認定取得済み未稼働の陸上風力は1020万㎾。このうち800万㎾程度を占める、同協会会員の発電事業者を対象に、今年7月から8月にかけて同調査を実施し、123事業、計695万㎾から回答を得た。
同調査結果では、回答の半数以上を占める、402万㎾(58%)が「運転開始期限を超過」、92万㎾(13%)が「事業継続困難」としており、運転開始期限を超過している事業のうち、165万㎾(24%)は「失効リスクがある」と回答。事業継続が困難とする回答と合わせると257万㎾(37%)に達した。運開期限超過または事業継続困難―とする要因(複数選択)については「地元との合意形成」が最も多く200万㎾を占めた。風車・設備費・工事費・接続費といった「建設コストの増加」や、保安林、盛土規制法、環境アセスに関連した選択肢を選んだ回答も多かった。
一方で、JWPAがサプライヤー(回答数26事業者)と発電事業者(同58事業)の会員に対して実施した、コスト動向に関する調査では、サプライヤーにおける人件費、原材料費、電力・燃料費、その他調達費―のいずれも上昇していることが明らかとなった。25年は、21年比で人件費が2割、原材料費3~4割、電力・燃料費3割、その他調達費は5割上昇。各費用について事業者は、30年に向けて引き続き上昇傾向にある―と見込んでいることが分かった。
また、サプライヤーのうち約8割が、コスト上昇を転嫁しきれていないことも判明。発電事業者から収集した、同一事業のコスト動向からも、建設工事費はすべての内訳で上昇傾向にあることを確認した。同協会は、これらの調査結果を踏まえて、陸上風力発電事業は、人件費、原材料費、エネルギーコストの上昇に晒されている―と指摘。このほどエネ庁が開催した、調達価格等算定委員会に対して、当面はFIPの継続が必要―とし、自立化に向けFIP移行やコーポレートPPAを実施しやすい環境整備を求めた。


