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エネ庁 輸入木質バイオマスCO2排出係数見直し

 経産省エネ庁は、輸入木質バイオマスの「ライフサイクルGHG(温室効果ガス)」既定値について、各生産国の「LCA(ライフサイクルアセスメント)電力排出係数」に基づいて算定する考えを示した。

 EUにおける同既定値の扱いや、確認の簡便性などを踏まえて、同バイオマスの加工工程に関する同既定値に関しては現在、生産国ごとでは無く、一律のLCA排出係数を用いて算定している。一方で、増加傾向にある木質ペレットの輸入は、東南アジアを中心として供給源が多様化しており、同庁は、各生産国の同係数に基づいて算定したほうが、自主的取り組みなどを進める上で、利用実態を適切に反映できる―と判断したもの。
 具体的には、欧州委員会の直轄研究機関で、政策立案の科学的根拠を提供する役割を担う、欧州委員会共同研究センター(JRC)が整理した、電源別のLCA排出係数について、IEA(国際エネルギー機関)統計に基づく各国の電源構成により加重平均した値を、各国の係数として用いる考えを提示。今後、パブリックコメントを実施した上で、来年度以降の計算に適用するものとして公表する。同係数は、各国の電源構成の動向などを踏まえて適宜見直す。
 24年度の木質ペレット輸入量は、638・1万tと前年度から1割増加。輸入元の内訳は、ベトナムが331・5万tと全体の52%を占め、次いでカナダ116・7万t(18%)、米国111・8万t(同)、マレーシア40・3万t(6%)、インドネシア31・5万t(5%)―となっている。このほど開催した新エネルギー小委員会バイオマス持続可能性WGにおいて、エネ庁が示した見直し案では、現行のLCA電力排出係数(100万kWhあたりのCO2換算GHG排出量)146・3gに対して、ベトナム152・08g、カナダ30・29g、米国119・84g、マレーシア190・16g、インドネシア246・79g―を適用する。

 なお、一部の農作物の収穫に伴って発生するバイオマスについても同庁は、輸入木質バイオマスと同じ方法で計算した、LCA排出係数を採用すると共に、同時期に適用を開始する考え。