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関西送配電、中国電 JICA事業を共同受託

 関西電力送配電は、中国電力、ニュージェックと共同で、タイのバンコクで、同国の首都圏電力公社にOF(油浸絶縁)ケーブルの品質維持・管理に必要な技術の移転を行う国際貢献事業を開始する。

 タイでは、同国政府の主導で02~11年、首都を含むバンコク郡で、電力の安定供給を目的とした発電・送配電線設備を増強。タイ政府の自己資金と日本政府の円借款によって、地中送電用トンネルの整備と超高圧送電用ケーブル(OFケーブル)の敷設を行った。

 その後、日本の経産省が「海外インフラの受注」を目的に開始した「質の高いインフラの海外展開に向けた事業実施可能性調査(FS)事業」の一環として、住友電気工業に委託して、18年にタイで実施した「アジア地域・メーカーとユーティリティーの連携による送電分野のO&M協力等を通じたインフラ輸出の事業実施可能性調査」の結果、 電力公社が管理するOFケーブルの接続部における漏油が多数確認され、絶縁破壊事故の発生が懸念される現状が明らかになった。

 そのため、同分野で優れた知見を持つ日本の電力の指導と技術移転により、電力公社職員のレベルアップを図ることで、自立したメンテナンス・補修体制を構築して、バンコク中心部での供給の安定につなげるもの。
 3社は関西送配電を代表会社にこのほど、JICA事業「バンコク230㎸地中送電線支援プロジェクト」を受託。今月より、①電力専門家の現地派遣、②日本での本邦研修―を開始する。このうち①では、OFケーブルの現状と維持管理状況、技術者の知識・技術レベル、メンテナンス計画と実施状況などを調査して課題の分析を行う。

 さらに集約結果を踏まえて、1回あたり14日間の②を、同業務を委託する電力の所有施設で開講した上で、成果をまとめて補修・維持管理に関するマニュアルを作成すると共に、電力公社に対して人材育成に関する提言を行う。プロジェクト実施期間は27年9月までの24か月。詳細は8月18日号参照。