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電事連 人材確保へ原子力開発目標の明示求め

 電気事業連合会は、国が先頭に立って原子力や火力・水力の具体的な開発・建設目標量を明示するなどの取り組みより、電気事業の予見性が高まり、基盤である人材・技術・サプライチェーンを守ることにもつながる―との考えを示した。

 経産省エネ庁がこのほど開催した、次世代電力・ガス事業基盤構築小委員会で、現在行われている電力システム改革検証を踏まえた制度見直しに対し、電気事業の人材やサプライチェーンの確保に向けた政府の対応を求めた。
 電気事業者はこれまで、需要減少傾向を前提とした安定供給の確保を推し進め、自由化による競争進展やコスト削減に取り組んできた。しかし至近では、データセンターやDX(デジタルトランスフォーメーション)などによる需要増加の蓋然性が高まると共に、カーボンニュートラルに向けた取り組みがさらに加速するなど、電気事業を取り巻く環境が激変。そうした環境下で、人材確保などの側面でも「無視しえない影響が顕在化」していることを指摘した。
 近年の原子力停止の長期化や、カーボンニュートラルに伴う火力の将来性の不透明化により、人材確保、技術継承、サプライチェーン維持―の側面で課題が顕在化。具体的には、人材に関して〇足元の労働力減少、今後の団塊ジュニア世代の退職、〇現場作業者の高齢化、〇将来性の不透明化による事業の魅力度低下―などを提示。サプライチェーンについては、〇作業員の高齢化・後継者不足、〇原子力長期停止に伴う施工会社の維持困難、サプライヤーの撤退・解散、〇国内電力案件の納期長期化・受注辞退、需要増による変電設備やケーブルの品薄化―などを指摘した。技術においては、労働人口減少や原子力の長期停止、新規原子力建設の途絶による技術継承の困難―を課題に挙げた。
 そうした中で事業者は、電力・メーカー・電力中央研究所などの産業界と、大学・高等専門学校の連携により08年から運営する、パワーアカデミーを通じた教育支援、社会へのアピールなどの活動や、各電力による次世代教育支援を展開。労働人口の減少に対しては、AI(人工知能)といった新技術を取り込んだ、業務効率化で対応するなど、様々な取り組みを進めており、そうした対応をスピーディに反映できる仕組みづくりとして、DX活用による合理化に対し関連規制の緩和を図る―などの措置を政府に求めた。