主な記事 詳細

過去の主な記事

経産省 一送電と事前伐採の重要性周知を推進

 経産省は、今年3月に総務省が公表した「倒木による停電予防のための樹木の事前伐採に関する調査結果」を受けて、一般送配電事業者と連携し、自治体に対して事前伐採の重要性・有効性、参考となる具体例などの説明を進める方針を示した。  

 19年の房総半島台風では、千葉県を中心に関東広域で最大約93万戸の大規模停電が発生。鉄塔の倒壊をはじめ、倒木による電柱・電線の損傷、土砂崩れによる道路の通行止めなどが多数発生し、復旧作業が長期化した。所管する東京電力パワーグリッドは、他社からの応援を含め最大約1.6万人を動員して復旧にあたったが、停電解消までに約2週間を要した。そうした事態を踏まえて経産省は、長期停電などへの対応策の一つに「電力会社と自治体の連携による、事前伐採の推進」を挙げ、以降、事前伐採の事例紹介や自治体への説明、一送電と自治体間の災害連携協定の締結促進などにより、取り組みを推進している。
 一方で、3月に総務省が示した調査結果は、事前伐採の促進に向けた経産省の取り組みについて提示。関係省庁との連携による、自治体への具体的な事例提供、自治体と事業者との情報共有に向けた、機会設置の促進などを示した。事業者、自治体には、双方の認識に大きな差が生じることなく事前伐採できるよう、両者の主体的な協力によって実施されることを周知する―などの取り組みを求めた。
 事前伐採に関する事務分担、費用負担に関しては、明確に規定した法令などは無く、事業者と自治体双方の個別協議に基づいて行っている現状を指摘。事務または費用の大部分を市町村が負担している事例もあり、その背景として、災害時連携計画の記載が事業者の認識に影響している可能性を示した。同連携計画については、事前伐採を推進する上での課題を把握し、改善策を検討することを求めている。