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経産省 南海トラフ地震新想定踏まえ設備評価

 経産省は、南海トラフ巨大地震に関する電気設備などの耐性評価について、新たな同地震の想定を基に、改めて実施することを、対象エリアに発電設備を有する大手電力各社に求める。

 内閣府中央防災会議が、同地震の被害想定や対策などをまとめた最終報告を、13年に公表したのを受けて、電気設備自然災害等対策WGにおいて、電気設備・システムに対する耐性の評価、復旧迅速化対策を検討。翌14年に中間報告書を取りまとめた。今年3月、中央防災会議は新たな知見に基づき、想定される震度分布・津波高などを公表しており、同省は、同想定に基づく耐性評価を、前回と同様の方法で行うことを決定。具体的には、対象の大手電力各社に対して、改めて耐性の評価とそれを踏まえた対策の検討を求め、その結果を審議した上で取りまとめる。
 3月に内閣府が公表した想定は、震度6弱以上または津波高3m以上となる市町村は、31都府県の764市町村に及び、その面積は全国の約3割、人口は同約5割を占め、影響は超広域にわたる―とした。地形データの高精度化などにより、前回の想定と比較して、より広範囲で浸水が発生する見通しであることも判明した。今回の評価は、これらの内閣府による想定に加えて、自治体独自の想定が公表されている場合は、自治体の想定も用いて、各設備の所在位置における最大影響となるケースに基づき実施する。
 評価の対象は、南海トラフ地震防災対策推進地域に設置する、大手電力の水力(発電用ダム)、火力、基幹変電・送電設備、電力システム。水力は、東京(東電リニューアブルパワー)・中部・関西・中国・四国・九州の6電力とJパワーが有するダムに対し、レベル2地震動(現在から将来にわたり、ダム設置地点で考えられる最大級の強さをもつ地震動)に対し、貯水機能を喪失する(制御できない貯水流出)ような重大な損傷を生じないか―を評価する。
 火力は関西・中国・四国・九州4電力とJERA、Jパワーの施設を対象に、想定地震動・津波のうち、設備が最も過酷な被害になる―と想定されるケースにおける、被害規模や復旧期間などを評価する。基幹送変電設備については、東電パワーグリッド(PG)、中部電PG、関西送配電、中国電ネットワーク(NW)、四国送配電、九州送配電、Jパワー送変電NWが保有する、17万V以上の設備が対象。最も過酷な被害を想定した場合の被害規模、長期的・広範囲にわたる供給支障発生の有無、復旧期間などを評価する。