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電取委 現地視察で東北電NW効率化策評価

 電力・ガス取引監視等委員会は、東北電力ネットワーク(NW)の効率化計画に基づく、物品費・工事費の削減に向けた取り組みについて、高い汎用性、実現効果を確認すると共に、単純なコスト効率化に留まらず、中長期的な施工力を確保するための試行錯誤を重ねていることを評価した。

 一般送配電事業者が投資計画を進める際の、経営効率化の進捗などについて確認するため、23年度に送配電効率化・計画進捗確認WGを設置し、各社が効率化計画に織り込んだ取り組みに対して、モニタリング・検証を進めてきた。同モニタリング・検証の一環とする、各社の個別プロジェクト検証のうち、今年4月に実施した東北電NWへの現地視察について、このほど開催した同WGで報告した。
 個別プロジェクト検証に関して電取委は、効率化額の大きさ、技術の先進性、他社への汎用性、10社の施策のバランス、現地視察の実行可能性などを考慮して、対象プロジェクトを決定しており、東北電NWの効率化施策では、①屋外機器配置の縮小化など、②無停電工事費低減に向けた取り組み―を抽出。①については、広域系統整備計画(東北東京間連系線)に基づいて取り組む、第一規制期間における東北電力NW最大規模の系統増強工事「宮城丸森開閉所新設工事」を視察した。同工事は、同社にとって11年以来の500㎸開閉所の新設工事。500㎸送電線接続数10回線で、全国3番目の規模(用地面積約15・5万㎡)となる。
 広域系統整備計画実施案提出時の工事計画を、最新の知見などによりブラッシュアップしており、電取委は、GIS(ガス絶縁開閉装置)の設計見直しや、ポリマーブッシング採用による碍子洗浄装置の取止め、屋外機器配置の工夫、GISなど機器類の縮小化により、開閉所敷地面積のコンパクト化を図っていることを確認。これらの施策は汎用性が高いだけでなく、実現効果が大きいことを指摘した。加えて、500㎸電気所の新設といった、大型工事の実施頻度は高くないことを踏まえて、工事現場の365日24時間録画や、好事例・失敗事例の取りまとめなど、同社が取り組む次世代への技術継承についても、高く評価した。
 さらに同現地視察では、送電工事における〇角度懸垂の適用拡大、〇耐雷設計の合理化、〇航空レーザー測量や3次元設計システムを用いた、道路設計による調査工費の低減、〇航空障害灯電源方式の見直し―の取り組みをヒアリング。また、施工力に関する課題への対応として実施する、労働環境の改善についても、取り組み内容を確認した。架空送電工事に従事する高所作業員は、全国的に減少、高齢化傾向にあり、過酷な労働環境の改善が急務となっている。そうした労働環境の改善に向けて、東北電NWが取り組む〇現場宿舎の個室化・市街地近傍への設置、〇山岳地の現場通勤へモノレール通勤の採用、〇基礎工事における掘削穴への昇降アシスト装置の採用―の施策例を確認し、作業員の安全や作業効率にも寄与していることを評価した。