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エネ庁 長距離海底直流送電実用化へ実地調査

 経産省エネ庁は、「長距離海底直流送電システム」の実用化に向けた実地調査を推進する。50年カーボンニュートラルと、30年のCO2排出削減目標に向けた再生可能エネルギーの導入拡大には、電力系統の制約解消を加速化させることが重要であり、特に30年目標には、洋上風力などのポテンシャルが大きい北海道から大需要地まで、効率的に送電するための直流送電システムの検討が不可欠―と判断。まずは、世界的に類例の乏しい大規模な長距離海底直流送電システムについて、技術や敷設手法の適用可能性を踏まえながら、計画的・効率的に整備するための調査などを行うことで、国内の電力系統における円滑な整備計画の立案をはじめ、海外の整備事業への進出につなげる考え。
 国内では、海底直流送電システムの敷設実績が少ないことから、NEDOが先行して北海道から本州を結ぶ日本海側と太平洋側の両海域で、長距離の同システムを実現する上での具体的な設備や詳細ルート、費用などに関する課題を明らかにするため、文献・聞き取り調査などを進めている。エネ庁はNEDOによるこれらの調査結果や、同庁の長距離海底直流送電の整備に関する検討会などの議論を踏まえて、実海域調査と先行利用状況調査に乗り出すもの。
 実海域調査では、海底地形・地質、気象海象などに関する調査を実施。調査海域については、北海道~東京間の海底ケーブルを敷設する上で有望な、日本海側・太平洋側のいずれかの海域を想定しており、ルート長は約900㎞、水深は既存技術を用いた海底ケーブルの敷設可能性を踏まえて500m以浅とする。また、先行利用状況調査では、長距離海底直流送電システムの敷設に必要な、環境影響評価に関する調査項目・手法などを整理すると共に、海域の先行利用者に対する影響を調査した上で、調査海域を利用する漁業団体を特定し、同団体を対象としたセミナーや広報事業などの地元理解促進活動を実施する。両調査事業に対してエネ庁は、49億円、3000万円をそれぞれ確保しており、今月27日を締め切りに委託先の公募を行っている。
 なお、岸田文雄首相は今月4日の年頭会見で、再エネの大量導入時代に向けたクリーンエネルギー戦略の策定について「送配電インフラのバージョンアップや再エネ最優先のルール作り、通信・エネルギーインフラの一体的整備、蓄電池への投資強化、再エネ、水素、小型原子力、核融合など非炭素電源の技術革新・投資強化、地域における脱炭素化といった多くの論点に方向性を見いだす」と表明した。