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関西電 ミシュラン2つ星シェフが幸エビを絶賛

 関西電力が、来年度より本格展開する養殖事業の柱となるバナメイエビの品質が高く評価され、同エビを食材に用いたオリジナルレシピを、ミシュラン2つ星店のシェフが創作し、人気EC(イーコマース=インターネットショップ)サイトで販売されることになった。既報のように関西電は「飢餓や天然資源の乱獲などの社会課題に対応すると共にSDGsに寄与する」ため、完全人工養殖のスキームによる同エビの養殖事業化を決定。昨年10月に設立した、海幸ゆきのや合同会社(新潟県妙高市の養殖業、IMTエンジニアリングと共同出資。出資比率は関西電98%)を事業推進会社に、静岡県磐田市に現在建設中の陸上養殖場で生産したエビの養殖を新規事業としてスタートさせる。
 同取り組みは、関西電が環境保全事業を通じて培ってきた海水浄化技術など水質管理の知見を活用し、近年の世界的な漁獲規制の強化を受けて今後、品薄となる人気食用エビの需要に応えるもの。同社が「幸えび」の商品名を付した養殖エビは、既に一部のレストランや、関電アメニックスが運営する「ホテル エルシエント京都」で「試験的にメニューとして採用」(関電アメニックス)し、高い評価を得ている。この評判を聞いた養殖関連サービスの、さかなファーム(東京都大田区)が、フレンチと中華の人気有名店の2人のシェフの協力を得て、関西電の幸えびを使った独自調理商品を創作し、同社が「サスティナブルシーフードの普及拡大」をコンセプトに展開するECサイト「CRAFT FISH」でこのほど、一般向けに販売することになったもの。
 両メニューは、ミシュラン2つ星フレンチ、Ryuzu(東京都港区)の飯塚隆太シェフ監修の「幸えびの濃厚ビスク」(税別料金880円)と、中華の名店として知られる蓮心(大阪市北区)の廣澤将也シェフ監修の「幸えびとトマトの卵炒め」(同1500円)。関西電は、取り組み初年度となる22年度に、80tの幸えびを生産し「関東、東海、関西の食品加工会社や飲食店に販売する」(同社)予定だが、本格的な展開を前に「至高の国産バナメイエビ」(さかなファーム)と評価された幸えびの味が評判になりそうだ。
 なお、バナメイエビについては、中部電力も、尾鷲三田火力の跡地を事業用地に、三重県や尾鷲市、尾鷲商工会議所、三重大学と、国内では採用例の少ないバイオフロックテクノロジーシステム(微生物の集合体を入れた水槽内で養殖する技術)を導入し、同エビの陸上養殖の事業化を進めており、今年10月に行った試食会では、養殖したエビを用いた刺し身などが「身が甘くてプリプリ」と好評だった。