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規制委 今年度事業者防災訓練で実効性重視

 原子力規制委員会は、今年度の事業者防災訓練において、シナリオの多様化・高度化に関する評価指標を見直すと共に、2部制訓練の実施を展開することを決めた。評価指標については、昨年度訓練の評価結果において、全ての指標で「A」評価を受けた事業者が、東北(女川・東通)、東京(福島第一・第二)、北陸(志賀)、関西(高浜)、中国(島根)―の5電力と日本原子力発電(敦賀)を合わせた計8プラントとなり、前年度の計4プラントから増加。同委は同結果から、訓練の習熟が進んでいることを確認したのを踏まえて、発電用原子炉の評価指標の一つ、シナリオの多様化・高度化を評価する際に、訓練による能力向上を促す実効性を有する事故シナリオであることを、確認の視点に追加する。具体的には、原子力災害の発生、または拡大防止のための応急措置として行う、事故対処の能力向上につながる現場実動や、プラント状態の把握を困難とする想定など、実効性を高める工夫が図られていることを確認するもの。
 また、第二種廃棄物埋設施設や、廃止措置段階の原子炉で燃料を搬出した施設に対する今年度の事業者防災訓練では、施設の特徴に応じた現実的なシナリオに基づく訓練と、緊急時対策所や本社の対応確認訓練をそれぞれ行う2部制訓練を導入する。同訓練については昨年度、日本原燃の濃縮・埋設事業所埋設事業部において試行的に実施し、規制委は適切に実施できることを確認しており、今年度は日本原燃の同事業部と同様に、相対的にリスクの小さい原子力事業所(IAEAのハザード分類で、分類Ⅲに該当する施設のみがある事業所、または全ての原子力施設が冷却告示に規定された事業所)において同訓練の実施を求める。さらに、廃止措置段階の原子炉のうち、敷地から燃料搬出を行っている日本原電の東海発電所についても2部制訓練を展開。規制委は、試行できるところから同訓練の運用を開始し、原子力施設のリスクに応じた実効的な訓練の在り方については、今後も検討を継続する考えを示している。