東京消防庁 壁面太陽光普及見据え対策提言
東京消防庁は、建物の外壁に設置する建材一体型太陽光設備の防火対策強化を求める提言をまとめた。東京都内では、太陽光設備の導入量が22年度に72万㎾と10年度比で約5.5倍に拡大し、設置建物数についても13万棟を大きく超えている。そうした普及拡大を背景に、同庁には壁面など屋根以外への設置に関する相談が近年増加。火災時の延焼リスクや消防活動上の課題を踏まえ、火災感知器の設置や設備の識別表示といった対策を進める必要性を示した。
提言は、同庁が実施した「電気設備等における総合的な防火安全対策に関する調査研究」の報告書で示した。軽量で柔軟性を持つペロブスカイト太陽電池や、フレキシブル型太陽電池の実用化が進み、屋根だけでなく建物の壁面、ファサードへの設置拡大が見込まれる中で、壁面設置太陽光の火災リスクと消防活動への影響を重点的に検証した。
壁面太陽光では、パネル背面に形成される空間を通じて、炎や高温ガスが上昇し、火災時に垂直方向への延焼を助長する可能性―を報告書は指摘した。燃焼した部材の落下によって、延焼拡大の恐れもあるが、消防活動の面では、屋根設置型で一般的な遮光シートによる発電停止措置を、壁面設置型で適用するのは難しいことを課題に挙げている。
消防活動に関する知見や実験データは十分に蓄積されておらず、発電状態の監視と合わせて、火災感知器の設置状況を確認し、煙感知器など電気火災への応答性が高い感知器の導入や追加設置について、建物形態に応じた検討を業界団体などに求めた。太陽光の火災原因に関しては、設計・施工不良やコネクタ接続不良、経年劣化などが多い―と分析。施工要領や業界ガイドラインに基づく設計・施工・保守点検の徹底に加えて、太陽光発電協会が設けるPV施工技術者制度などの活用強化などについても提言した。
都内では、住宅への太陽光導入が最も多く、事務所建築物や商業施設でも拡大傾向にある。都は、新築住宅への太陽光設置を促す制度も開始しており、さらなる普及が見込まれている。同調査研究では、壁面設置型フレキシブル太陽光モジュールの燃焼実験も実施しており、同庁は今後も、知見の蓄積と安全対策の検討を継続する必要性を示した。


