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環境省 CCUSシンポジウム全12講演開催

 環境省は年明け後の1月29日、虎ノ門ヒルズフォーラム(東京都港区)の会場とオンラインで、CCUS(CO2回収・利用・貯留技術)の社会実装に向けたシンポジウムを開催する。

 当日は、はじめに同省と経産省エネ庁の担当部署、地球環境局地球温暖化対策事業室、資源・燃料部燃料環境適合利用推進室が、各省におけるCCUSの取り組みをそれぞれ説明。次いで、環境省がCCUS技術の確立などを目的として取り組む支援事業に関して、〇CCU技術、〇CO2分離・回収技術、〇洋上圧入CCS技術、〇CCSのモニタリング技術―のテーマごとに全12講演を開催する。
 同講演では、CCSのモニタリング技術に関して、KANSOテクノスが「海底下におけるCCSのCO2モニタリング」事業を紹介。そのほか、東芝エネルギーシステムズによる「CO2電解技術によるカーボンリサイクルの社会実装」「液体吸収剤による二酸化炭素分離回収事業の社会実装に向けた取り組み」、川崎重工業の「アミン吸着剤によるCO2分離回収技術の社会実装に向けた取り組み」、千代田化工建設の「洋上浮体圧入方式における2浮体間の液化CO2移送に係るフローアシュアランス」などに関する講演を行う。
 このうち川崎重工は今年6月、JERAとCCUSのバリューチェーン構築に向けた共同検討に関する覚書を締結した。JERAパワー横須賀合同会社が運営する、横須賀火力(石炭、計130万㎾)において、30年度までに川崎重工の最新鋭CO2分離・回収設備をパイロットスケールで設置し、CO2の分離・回収から有効利用に至るまでの実証を開始する。川崎重工は、固体吸収剤を用いた独自のCO2分離回収技術「KCC(Kawasaki CO2 Capture)」を開発。固体吸収剤により排ガス中のCO2を吸収し、60℃の低温蒸気を吹き込んでCO2を回収するKCCは、発電所や産業プラントなどの廃熱を利用して蒸気を生成することで、CO2分離・回収コストを低減する技術として期待されている。
 なお、来年1月5日付けの弊紙電力時事通信8751号と、7日付け8752号は、新年特集号として、筆者にエネルギー総合工学研究所カーボンニュートラル技術センターの橋崎克雄・炭素循環エネルギーグループ部長を迎えた特別紙面「CCUSの技術経済的評価に関する総説」を、前編と後編の2号にわたり掲載する。

 世界的な研究・実証・政策動向を踏まえて、CCUSの技術経済分析に関する知見、主要論点をはじめ、技術間比較、今後の研究課題などについて、炭素循環分野の専門家として橋崎氏が詳説する。