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規制委 デジタル安全保護回路の故障対策を検討

 原子力規制委員会は今月末にも、原子炉施設におけるデジタル安全保護系の共通要因故障対策などに関する検討を開始する。先月13日に開催された同委会合で、同課題に関する今後の取り組み方針が了承されたのを受けて、このほど新たに検討チームを設置。今年度中を目処に、同対策を規制に取り込むための具体的検討に取り組むもの。安全保護回路をデジタル化する場合には、アナログ式の場合には無かったソフトウェアに起因する、多重化された安全保護回路の同時機能喪失(CCF)を新たに考慮する必要がある。そのため原子力事業者は、従来からデジタル安全保護回路を設ける場合には、ソフトウェア処理の簡素化や可視化、自己診断機能の実装、ライフサイクルを通じた品質管理、検証・妥当性確認の実施といった、現行基準の要求事項を満たすと共に、一部の安全保護機能を代替するハードワイヤード(Hw)機構を自主的に設けているのが実情。
 ソフトウェアの品質確保策を的確に講じることで、ソフトウェア起因のCCFが発生する可能性は十分低く抑えられる―との判断から規制委は、現行基準ではHw機構の設置を求めていない。一方で、事業者が自主設備であるHw機構を「合理的な範囲」で設計する―としているのに対しては、Hw機構がデジタル安全保護回路の安全保護機能をどの程度代替できるか、同回路と比べてどの程度の設計グレードであるか―が明らかでないことを指摘。現在は自主設備である多様化設備を規制要求化する考えで、同設備の要求事項とする、設計グレードや代替機能などを整理すると共に、国内の導入実態や国際動向も踏まえて、規制対象とするデジタル安全保護回路の範囲についても検討する。