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規制委 放射線従事者の特殊健康診断省略を検討

 原子力規制委員会の放射線審議会は、原子力施設などにおける放射線業務従事者に対して行う、特殊健康診断の省略について検討を加速する。放射線業務従事者に対する健康診断は、放射線障害防止法が施行された当初から、作業による異常な被ばくの事実や、放射線作業環境の欠陥を発見する手法として採用。現在もこの考え方に基づき、定期的な実施が義務付けられている一方で、同規制は国際放射線防護委員会(ICRP)などの国際基準とは明らかに相違があり、また放射線防護・管理システムについても、当時と比べて進展していることから、同審議会はこれまで、同健康診断の在り方について、様々な議論を重ね、昨年度には放射線業務従事者と事業者を対象に、健康診断の実施実態を調査した。特殊健康診断の実施については、法令上は医師の判断によって柔軟に省略できることが定められているが、同調査から、実際に省略しているのは原子力施設で1%、放射線施設でも2~10%であることが判明した。その理由については「省略する積極的な理由が無い」が最も多く、次いで「省略の判断の手続きが煩雑」が多かった。

 昨年度の調査結果を踏まえて放射線審議会は、今年度も調査を継続する方針を示した。今年度調査では、就業後定期に行われる特殊健康診断の省略に関して、実態をまとめると共に、就業前、定期、過剰被ばく時における放射線業務従事者に対する健康診断の在り方に関する意義や目的、必要性を国際的な考え方に照らして整理。医師が特殊健康診断を省略する判断を行うために必要な項目・課題を抽出した上で、今年度末を目処に取りまとめ、改めて検討する考え。具体的には、特殊健康診断に関する内規や実施要領の分析・整理、健康診断の在り方に関する、産業医、労務・放射線管理担当者との意見交換、海外調査などを行う。